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おはようございます、ぺんたです。

先日の税理士監査の時に消費税インボイス制度の話になりました。(2023年から導入予定)ふだんから「面倒くさいな~」が口癖の顧問税理士が、最大限の表現で「ほんと面倒くさいんです💢」と断定していました。
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消費税のインボイス制度とは誤解を恐れずに申し上げると、これまでなぁなぁでやってきた消費税の計算を厳格化する制度です。国はインボイス制度の導入によって、取りこぼしてきた消費税を厳密に徴収できますので、税収増につながります。

インボイス制度にはいくつかポイントがあって

・BtoB取引(業者間取引)を行う業者は、課税業者を選択すると税務署による事業者登録番号を取得することができる。事業者登録番号がなければ消費税を請求することができない

・登録番号を持った事業者は、発行する請求書・領収書全てに事業者登録番号と消費税額を明示しなければならない

・請求書を受け取った事業者は仕入れ代金(本体金額)とその消費税額を別々に記帳しなければならない(これが面倒くさいポイントです)

というものです。(え、たったこれだけ?)(これでどうして騒ぎになるの??)と私も最初は思いました。でもいろんな情報に触れて、こりゃ相当インパクトが大きい改正だな・・・と思うようになりました。

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インパクトが大きいと言われている業種のひとつ、一人親方の大工さんを例に取ってみます。この方は若い個人事業主で、某アパートメーカーと専属請負契約を結び、日当2万円+消費税で年間300日現場に入っているとします。(わかりやすくするため、アパートメーカー以外の仕事は一切やっていないことにしますね)

すると親方の年間売上高は660万円になりますので、現在の制度では課税ラインの1000万円に達しないため消費税非課税業者(=消費税を払わなくていい)となります。こうやって書くとお気づきの方もいらっしゃると思いますが、消費税を払わなくていい立場なのにもかかわらず、アパートメーカーからは消費税分を上乗せしてもらって受け取ることになります。
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これが「益税」と言われる、非課税業者が得をすることの温床となっています。

この親方が年間を通じて活動するために、車両費やガソリン代、道具の仕入れ代金として年間66万円の原価を費やしているとします。この仕入れは正味でいうと60万円なのですが購入段階で消費税が課税されますので66万円になります。総売上高660万円から課税原価66万円を差し引いた594万円が親方の粗利になります。

非課税業者であれば本来消費税を受け取ることが出来ず、売上高は600万円になるべきです。そこから正味原価の60万円を差し引いて粗利は540万円・・・となるのが本来の姿だと思うのですが、消費税を導入する際に混乱を避けるため現在のような制度にしたのでしょう💦 結果として594万円と540万円の差額54万円は親方が労せずして手にすることのできる「益税」となってしまいました。

次にインボイス制度が導入されたあとのことを考えてみましょう。
インボイス制度下でも親方は課税業者と非課税業者を選択することができます。しかし冒頭で触れた「事業者登録番号」がなければインボイスを発行できなくなる、すなわち消費税を請求することができなくなるため、非課税業者を選択すると年間売上高は600万円に縮小してしまいます💦すると自動的に「益税」54万円が消滅してしまいますので、親方の手取り収入がその分目減りしてしまいます。

いっぽう課税業者を選択すると事業者登録番号をもらうことができ消費税を請求できるようになるので従来通り660万円の売上を手にすることができますが、課税業者になっているため、こんどは60万円の消費税を納付する義務が生じます。ここから原価にかかった消費税6万円を控除出来るので(仕入れ税額控除といいます)実際には54万円を納付することになります。

というわけでインボイス制度が導入されると、非課税業者が享受してきた54万円の「益税」がどっちみち消滅してしまいます。これがインボイス制度=益税潰しだ・・・と言われる所以ですね💦

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「課税業者であろうが非課税業者であろうが、どっちみち54万円の粗利が消滅してしまうのであれば、事務作業が楽な非課税業者を選択したい!」

と考える親方がいてもおかしくないのですが、そうするとこんどはアパートメーカーからの発注が途絶えてしまう可能性があります。どういうことでしょう・・・。

そもそも消費税というのは流通の各段階において消費税が課税され、積み上がっていく税になっています。ある商品やサービスを仕入れた事業者は、仕入れ原価にかかる消費税を負担します。付加価値をのっけて次に販売するときに消費税を徴収し、仕入れ原価にかかった消費税分を差し引いて消費税を納付することになります。これを「仕入れ税額控除」と言います。
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親方の事例に戻りますが、経費処理の簡便さを優先して親方が非課税業者を選択したとします。これまでの制度では非課税業者でも消費税分を請求できていたので税務処理上は混乱が発生しませんでした。(かわりに益税というズルが発生していましたがね・・・)
ところがインボイス制度下では課税業者にならなければ事業者登録番号が貰えない、よって事業者登録番号がないと消費税が請求できないということになります。

すると親方は先述の通りアパートメーカーに660万円ではなく600万円しか請求出来なくなってしまいます。すなわち消費税相当の60万円が宙に浮くことになります。この60万円はどうなってしまうか?というと、けっきょくアパートメーカーが負担することになってしまいます。

従来の制度下ではこの60万円をアパートメーカーは仕入れ税額控除することが出来ました。分かりやすく言うと、施主からいただく消費税から60万円を差し引いた金額だけを消費税として納付していれば良かったのですが、非課税業者と取引するとこの60万円の仕入れ税額控除が使えなくなりますので、60万円分を自腹で負担しなければならなくなります。
すると・・・、

(非課税業者の大工を使うと消費税負担が増えてしまうので、課税業者を選択した大工さんを使おう・・・(..;))

とアパートメーカーが考え、仕事は課税業者を選択した大工さんに流れていくことになってしまいます。インボイス導入までまだ1年以上ありますが、すでに大手企業では取引先に事業者登録番号を取得するよう猛プッシュをしているそうです。インボイス制度とは非課税業者を課税業者になるよう追い込んでいく装置なのです。

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長くなりますがもう少しお付き合いください。お家賃というのはレジ物件であれば消費税の非課税対象です。インボイス制度は大家さんに関係ないんじゃないか?と考える向きもあろうと思いますが、ざっと考えただけで以下のような影響が出ると思います。

■テナント物件/駐車場経営の大家さん

事務所物件やソシアル系の物件をお持ちの大家さんは影響が出ます。テナント物件は消費税の課税対象なので従来は消費税込みのお家賃をいただいていると思いますが、大家さんが非課税業者を選択するとインボイスが発行できなくなってしまいますので消費税分を徴収できなくなります。それにより益税が消滅し、粗利が10%近く目減りしてしまいます。
またテナントの中にはインボイスを発行してくれないのならば他に移る・・・というところも出て来るでしょう。
それから、これは邪推かもしれませんがインボイスを毎月発行してくれ!と言い出すテナントが出てくるかもしれないな・・と思っています。お家賃は振り込み送金が一般的ですがそれだけではインボイス制度のエビデンスにはならないと考える税理士がいたら、テナント経営者に「これからは毎月領収書を入手してください」と言うかもしれません。
駐車場経営者で非課税レベルの方も同様の構図になります。ただしこちらは一般民間人への賃貸が主体であればテナントほどのインパクトはないかもしれません。

■非課税業者を工事業者として使う大家さん

一人親方などの非課税事業者を工事業者として使っている方。この場合、大家さんはエンドユーザーの立場になりますから短期的な消費税の納付義務は生じないと思います。ただし所有物件を売却したときは建物売却価格に消費税が課税されますので、所有期間中にたとえば外壁塗装などの大規模改修を行い資産計上したりしていると仕入れ税額控除ができず、消費税の取りっぱぐれにつながる可能性があります。(→とはいえ、ツッコんで調べることができていませんのであくまで可能性ということでご容赦ください)

それよりも短期的にインパクトがあるだろうことは、工事代金の値上がりです。益税を享受することの出来なくなった非課税業者は、生活を守るため益税がなくなった分を工事代金に転嫁することになります。すなわち従前の価格よりも10%ほど代金を値上げされる・・・と考えるほうが自然でしょうね(..;)

■非課税業者を入居者として受け入れているレジ物件の大家さん

中古アパートにはいろんな方が入居されます。その中には一人親方や起業したての自営業者さん、デザイナーなどのフリーランス、個人タクシーの運転手・・・など、インボイス制度の影響をモロに受けてしまう方が多数含まれます。この方々はインボイス制度のおかげで手取り収入がガクンと落ちてしまうので、上述のように値上げで回収できればよいのですが、そういうことが出来ない立場の方はより安い家賃のところに引っ越す、あるいは収入減と同時に滞納が始まる・・・といったことも考えられます💦

■太陽光を小規模にやっておられる方

大家さんと親和性の高い太陽光発電事業をやっておられる方も多いですね。売電売上を1000万未満に抑えて非課税業者になっているケースも多いと思いますが、そういう場合も電力会社の立場になって考えると同じことです。
売電価格には消費税が課されますので例えば買取価格24円の場合、発電事業者には26.4円の入金があります。10%の消費税が上乗せされているわけです。ところが発電事業者が非課税を選択すると電力会社が仕入れ税額控除を活用できず、丸っと電力会社の税負担になってしまいます。現時点では電力会社が「非課税業者からの買取は控える」とかの表明はしておりませんが、将来的にはそうなる可能性は十分ありますし、たとえば出力抑制は非課税業者を狙いうちにする・・・といったことも技術的には十分可能です。いまのうちになんらかの手を打っておいたほうが良さそうですね。

■妄想レベルですが将来は・・・

岸田政権になってから財務省が猛威を振るっているように見えて仕方がありません。岸田さんの一族は有名な財務省一家ですので、ご自身も財務省の活動に理解を示しておられるのだと思います。
そんな状況で私が恐れるのは、現在非課税となっている(レジ物件の)お家賃が消費税の課税対象になってしまうことです。もし課税対象になってしまったら大家さんは10%の消費税分を家賃に上乗せ請求できるでしょうか?家賃はマーケットで形成されていますのでストレートに転嫁できる方は多くはないと思いますし、なにより入居者が黙っていないと思います。
そうなると現在のお家賃の中から消費税を大家さんが自腹で納付しなければならなくなり、上で挙げた一人親方同様、10%近くの減収に見舞われます。考えるだに恐ろしいシナリオです・・・💦

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ここまで長くなってしまいましたが、インボイス制度は経営環境に大きな影響を及ぼすだろうことはおわかりいただけたと思います。今後もいろんな形で積極的に情報を取って行かれることをおすすめします。

私は個人的にインボイス制度自体は悪くないと思っています。むしろ従来のほうが益税の問題や簡易課税の問題など、消費税を免れる事業者が多かったので不公平感が強かったです。ただしインボイスをやるなら、消費税導入時に最初からやって欲しかったというのが唯一の不満です。もっと言うと消費税自体がなくなってしまうことが私の理想なのですがね・・・(^^ゞ

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